患者さんのトラブルクレーム対策~歯科医院~

日々の診療で患者さんとトラブルになった時、なりそうな時の対策ブログです

民事不介入 から 被害届を出せる状況への持って行き方。

患者さんとトラブルになった場合、

身の危険を感じる事も多々あります。

 

私も「若い衆を連れて行くぞ!」とすごまれて

その後警察沙汰になった時 相手に警察が その言葉について問いただしたところ

 

「先生の治療が丁寧なので若い仲間にあの歯科医院へ行けという意味でした」

 

と、訳の分からないことを言われたそうです。。。。。

言われた方は 身の危険を感じます。

大抵、若い衆を連れて行くと言っても 実際に来る人は殆どいません。

特に、本当の当たりやは 電話など遠隔でなんとかしようとしてきます。

 

自分がマークされているのを知っているからです。

乗り込んだら自分の身が危険だから。

 

警察へ「患者さんとトラブルになって困っています」と言っても

最初は

民事不介入なので自分達双方で納めてください

 

と言われます。絶対。

何か事件が起きてからでないと警察は動きません。ボディーガードではないのです。

 

最初は先生方も動揺しているので どうしたらいいのか、

自分が悪かったのか、どうなるのか、とパニックになると思います。

 

そこで、一息ついていただいて、

①証拠集め

電話の録音 かかってきた電話の記録 回数 対応 をメモすること。

今は録音できますので 録音機は必須アイテムです。

言った言わないのやり取りに終始しますし

異常な内容、業務内外の異常な電話回数などは

営業妨害も適応される場合が多いです。

まずはそこから被害届を出しましょう。

 

②脅し文句を検証する

若い衆を連れて行くぞ →いつでしょうか。どのような方々でしょうかと

            冷静に聞いてあげてください。

誠意を見せろ →誠意とはどのように見せればいいのでしょうか?

        わからないので教えてください。そうすれば対応できますで

        とにかく通す。

        自分で考えろ!と絶対に言われますので

        この対応も私たちなりの誠意です。と言う。

        金額を言われたらラッキー。

       恐喝罪で逮捕できます。

 

 

 

 

 

 

 

先生の方からはモンスターペイシェントを晒せない

ネット社会になって 個人の情報発信が簡単にできるようになりました。

様々な業種や商品サービスに

これ見よがしに 自分基準の☆を付ける人達も激増しています。

食べログしかり、評価しかり。

 

日本人は評価第一主義のように自分がどう思うかよりも

他人の評価を大事にします。

評価が高ければ 良い。 低い場合は 悪いのではないかと。

 

サイレントマジョリティ(静かな多数派)

ノイジーマイノリティー(うるさい少数派) という言葉があります。

 

ネット上ではノイジーマイノリティーが市民権を得ているように

ガンガン自分基準の評価、酷評 悪口を書き込みます。

 

店やサービス、商品等は 晒される側ですので

好き勝手に書かれても 書いた個人に対してイラっとしても

「評価有難うございます」の姿勢ですので さらに助長させてしまいます。

 

自分がご意見番とでもいうように モンスターは巨大化していきます

個人で暴れまくっているような人を

店側は排除できませんし、たしなめる事はできません。

 

同じ人が他の所で暴れる事はどの業界でもよくあります。

 

当たりやと同じです。

 

感情の行き違い

歯科医になった先生方は

 

「治療をして修復する」ことが仕事です

 

患者さんは

 

「痛い、辛いという事をわかって楽にして欲しい」ことが希望です

 

治療で求められることと、提供することが少々ずれる時に

不幸な関係が出来てしまうような気がします。

 

歯科医は何とかしよう とするあまりに患者さんに義務を押し付ける事になったり

患者さんは先生に心も癒して欲しいのにモノ扱いされたような被害者意識が出たり。

 

お互いに同じ方向を向き、ゴールを設定しないと行き違いが生じます。

 

最初のカウンセリングで ちゃんと患者さんへ説明し

患者さんも 「先生は治してくれようとしている」という協力的な態度でいれば

信頼関係に繋がると思います。

 

クレームやトラブルの原因の多くは

お互いの信頼関係の崩壊です。。

 

 

 

 

 

プロの当たり屋

私が今まで経験の中で 確率が高いもの。

 

住所が診療所から遠い   です。

 

電車通勤ができる昨今、長期の出張もありますし 色々な事情がありますが

一度 患者さんへ

「ご住所が遠いですが、通えますか?」 

と そっと質問してみるといいと思います。

大抵、「仕事場が近い」とか 「引っ越ししてきたばかり」等の

理由を教えてくださいます。

 

ただ「こちらに来た時に取れたので応急処置で」 というのは

グレーに入ります。 特に駅前や繁華街以外の町中の診療所では

警戒しておくに越したことはないと思います。

 

プロの当たり屋は ??変だな?と思われる事に敏感ですから

とっさのウソも考えてきます。

 

口腔内にちゃんとした治療がされていない

(中断跡が多い、抜けたまま)

 

も 要警戒です。

ちゃんと治療を受けていない、または 受けられなかった事情があるという事で

他の所でもトラブルを起こしている場合があります。

 

手をつけたら「 先生に〇〇されたところ、ずっと調子が悪いんだけど」と

 

Drに責任を擦り付けるような事をくりかえし、金品や謝罪を要求する人も居ます。

 

最近では お金目的ではなく 相手がおろおろするところを楽しむ

オカシイ人も増えていますので 要注意です。

相手が下手にでていて 強く出られない事に優越感を持ち、どんどん

エスカレートしていく人です。 

 

関わったら大変な人も 全体の患者さんの中には含まれるかもしれないという事を

覚悟しないといけない仕事です。

 

 

クレームを受けた時の判断 (プロの当り屋)

クレーム、ごねられる時にまず

① プロの当り屋か

② 患者さんからの正当なクレームか

を 判断しなくては その先の終着点が見つかりません。

 

まず プロの当り屋は います。 断言します。歯科業界でブラックリスト

共有したいくらいに 意外と多いです。

 

そのプロの当り屋は 

①揚げ足を取り、話を解決しない方向へ持って行く

②漠然とした感情への損害を強く主張する

③途中話がコロコロ変わり、元の問題を見えづらくする

④自分のこの時間を返せ と まつわる事項へも ペナルティを課そうとする

⑤金銭を暗に要求する(損害賠償も含めた金額)

 あからさまに提示すると恐喝になるのを知っています。

 

大前提として

患者さんの言い分だけを鵜呑みにしない

 

トラブルが起きると 大方の先生方は善人ですので

「自分が何か不手際を?」と 考えてしまいます。

その気持ちは大事ですが、

 

相手を不愉快にしたことへは謝罪の気持ちを持っても 

診療内容とは別の問題である

という事を 肝に銘じてほしいです。

 

怒っている=診療内容に不備があった  ではないです。

 

ご自身がちゃんと患者さんへ説明と同意があり 医師としての見解の範囲で

施術したことは 法律も守ってくれます。

 

それだけ 診療内容に不備があったか失敗したか というのは

専門性が高く、判断が難しいのです。司法も手が出しづらい所です。

 

今日寿命だった人が 歯科治療中に心臓発作で亡くなったら

歯科医の責任か?

 

という 単純な事で考えても どこでどう何が起きたか、それにより

何が引き起こされたか というのは 専門家でも意見が分かれる所です。

 

まずは落ち着いて、

 

クレームには 客観的に冷静になろう!  です。

 

 

 

 

クレームとは お宝か損害か

大きな企業では クレームはお宝だ。とクレーム買いのシステムもある様です。

お客さん達からのクレームを一件 いくらで買い取るそうです。

 

それに近いのはアンケートかもしれません。

 

じゃあ クレーム入れた方が 会社は嬉しいんじゃないの?と

勘違いされる方も増えるのではないか(もう既に増えている)と危惧します。

 

アンケートやクレーム買いの場合、直接の相対ではなく

紙や専門の人間(クレーム買い企業)が入るので

現場の人間の手を煩わされません。 結果を見るので 客観的にとらえる事ができます

 

大企業であれば お客様相談係 という電話窓口も設置し

直接のやり取りを回避できますが 個人経営や小規模企業的な業態が多い歯科医院では

クレーム係を置くことはできませんから 現場のスタッフ対応になります。

 

最終的にはドクターとのやり取りになります

医療は様々な見解もあり、治療法もあり 最終的には患者さんとの信頼関係がないと

資格がない人がした場合 傷害罪 になるケースです。

特に歯科は 障害罪に近いこと を 知識と資格で行っても良いという許可を得ています。

他人の歯を抜く。歯を削る。神経を取る。 無資格者がしたら犯罪です。

 

トラブルの多くは

@待ち時間

@説明不足

@対応が悪い

@治療内容・料金に納得がいかない

 

等。。。

 

どの業界にも共通することが殆どですが

治療内容は 先生方によっても見解が違う場合があり、

一人として同じ状況、同じ症状はないので すべてのケースが違うという

特殊な環境なので そこをクレームで対応すると

平行線にしかなりません。

 

そこを Drが対応していたら メンタルも時間も損失になります、

 

患者さんからのご意見としてクレームは大切だと思います。

そこで お互いが気づき、納得し、向上すればいいのですから。

 

しかし、 一方的な思い込み、素人判断からの(周囲の人達からの焚き付けもあり)

誤解など、 医療側と患者さん側には 大きな溝があることも

心しないといけないと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医療もサービスというならば

世の中様々なサービスがあります。

レストラン、施設 美容エステ 語学。。

企業が仕事として生業を立てているものはほとんどが サービスを売っています。

 

医療もサービスとよく言われます。

これにはYES でもあり NO でもありと思っています。

 

YES → 患者さんからお金をいただいている

NO→ 通常のサービスは会社独自の金額設定ができるが、

    医療機関は国に決められていて 低い水準で叩かれている

 

患者さん達が どこかで誤解をしてしまうと

 

医療もサービス業なんだから もっと対応を良くしなさいよ。

ホテル並みの内外装も 24時間営業もできるでしょ? 

もちろん最新の設備は全部兼ね備えて アクセス良く いつも感じよくね♪

スタッフは美人でDrはイケメン・貫禄がある人が良いわ・

 

という 他業種のサービスと比較され求められます。

 

自費Drならば 出来ると思います。自分で金額設定ができますので。

 

しかし保険医では無理です。企業努力をしても保険点数(金額)は

年々下げられていますし、患者さん達の意識も変わっています。

値下げ続行中の商売はいつか破たんします。

 

破たんする=経営できませんし、これ以上頑張りませんよという意志表示。

 

患者さん達は 医療機関がずっと存続し自分達が好きな時に便利に

フリーアクセスできると 信じています。

歯科でいえば、開業医院も多いのでどこかへ行けば必ず診療は受けられます。

 

では このまま歯科の先生方が

「やってられないわ」と 放棄し始めたら。。。。。

 

それは決して脅しでもなんでもなく 歯科大へ進学する日本人は減少しており

学生の定員割れが起き、

海外からの言葉が日本語ではない学生が多くなっています。

その人達があと数年後、卒業したら 業界の変化が起きると危惧しています。

 

日本人歯科医が少なくなり、日本国民への関心が無い人達が

純粋に 商売としての歯科医療を始めたとしたら。。。怖いです。

 

 

実際に産科は破たんしています。

妊娠しても出産する場所がない。 

あまりのクレームの多さに Dr達が産科を続けようとする意志を削がれたのです。

 

サービス業は いつまでも存続する意志で始めますが

業態、環境が変われば すぐに畳むこともあります。

 

お互いに良い環境でなく、どちらかが負担が多くなれば

サービス業は サービス停止をする。という事があるのです。